イギリスで300年前から伝わる、とびきりおいしいデザート、”ブラックベリー・フール”をめぐる4つの物語。
1710年、イギリスのライムという町で、ブラックベリーを摘む親子の姿から物語が始まります。今は、ハンドミキサーを使えばあっという間にできるホイップクリームも、300年前は小枝を束ねたものを使って泡立てていました。
その100年後の1810年、アメリカ、サウスカロライナ州チャールストンという町。奴隷の親子が、ブリキの泡立て器を使って生クリームを泡立てます。道具だけはなく、建物や服装、その時代の暮らしぶりが忠実に描かれています。
またその100年後の1910年、アメリカ、マサチューセッツ州ボストンという町。生クリームは配達され、料理の本で作り方を確認し、鉄の泡立て器を使って生クリームを泡立てます。道具も進化し、作る時間も短縮されました。
そして、2010年、アメリカ、カルフォニア州のサンディエゴという町。デザートを作る親子は父と息子、インターネットで作り方を調べ、男の子が電動泡立て器を使って、あっという間にホイップクリームができました。
1810年の家族の食卓、奴隷の親子がブラックベリー・フールを配ります。
2010年、様々な人種の友人親子が集い、楽しく食事を囲む食卓が描かれています。
4つの時代の、4つの家族による、4つの物語。300年以上たった今もなお、受け継がれている一つのデザート作りを通じて、様々な変化を知り、歴史を学ぶ絵本。
やわからな色彩でその時代背景を忠実に描いた挿絵も魅力。ぜひ、親子で一緒に語り合いながら読んでいただきたい一冊です。小学生以上におススメです。